| だがしや楽校から考える 青少年ボランティア活動の可能性 横山 代志範 (米沢市教育委員会/国保介護課) |
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1.青少年ボランティア体験の固定化 私は、米沢市青年の家で青少年に関する事業を平成15年度まで担当していました。青少年対象の事業はさまざまありますが、その中でも近年は完全学校週5日制の実施や「生きる力」を育む教育の推進などを背景に、青少年にボランティア体験活動を提供する事業が推進されています。 一般的にボランティア体験活動は、青少年が社会とかかわることでいろんな面で成長できる事業として非常に意義があると考えられています。しかも青少年がボランティアの企画の段階から参加し、実践し、ふりかえりを行うことでより高い成果をえることができるといわれています。 私は、平成13年度からこの事業を担当してきましたが、事業の内容を簡単に説明すると次のようになります。 まず1年目(平成13年度)は、以下のとおりです。 図1 |
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<前期>
<後期>
平成14年度 青少年ボランティアリーダー養成講座活動内容一覧
このように、当初はボランティア体験を目的とした内容でしたが、事業を重ねるうちに「中学生・高校生のボランティアサークルの立ち上げ」が目的となり、平成15年度は青年の家の事業を離れ4月に保育園訪問とだがしや楽校を活動の軸にしたサークルを立ち上げ現在に至っています。 さて、この事業を担当してきて感じていることがいくつかあります。第一に「ボランティア活動」のイメージについて、子どもたちが頭の中で描いているものに固定的なものがあるのではないかということです。それは、事業の参加者やその他のボランティア研修などでかかわった子どもたちの考えに共通するものを感じたためです。 私が担当した事業のなかで何回か「自分がやりたいボランティア活動」について企画する内容がありました。その場合、班や個人ごとに企画書を書きながら計画をつくるのですが、大抵の企画書は、「老人ホーム訪問」「幼稚園(保育園)訪問」など「施設訪問系ボランティア」と「募金」「ごみ拾い」といった「収集系ボランティア」の2種類のボランティアに集中する結果でした。 私の担当した事業がたまたまそうだったのかもしれませんが、県で実施したボランティア研修会の中のワークショップにあっても同様の結果がみられ、少なくとも私の勤務する周辺の地域ではそうした傾向があるのではと感じています。 ではなぜこうした傾向が生じてくるのか考えてみると、第一に、子どもたちの間に、ボランティア活動に対しての固定観念があるのではないかということです。 子どもたちがボランティア活動について情報を得る機会は、学校の授業や課外活動などを通して学校で知る場合が多いと思われます。学校の授業や課外活動について細かいところまではわかりませんが、そこで得たボランティアに対するイメージが子どものボランティアに対する固定観念に関わっているのではないでしょうか。 例えば学校単位で、施設に訪問することやクリーン作戦、最近は部活動単位で一人暮らし老人宅の雪下ろしをおこなったことが新聞に掲載されたりしています。学校でこうした活動を行うことは、子どもの社会体験という意味で意義のあることだと思います。ただ、学校単位での活動になると、どうしても組織的、一部強制的であり、なおかつ内容も個人というよりは集団で取り組みやすいものにならざるをえないのではないでしょうか。こうした活動の積み重ねが子どもたちに「施設訪問」「収集」といったイメージを与えている可能性が考えられます。 第二に、ボランティア活動は「弱者救済」「自分を抑えて他人のために」という「奉仕活動」にあるイメージが子どもたちに強くあるのではないかと思います。どうも「ボランティア活動」と「奉仕活動」を混同して考えており、あまりよいイメージはないようなのです。 図2 「ボランティア活動」と「奉仕活動」の概念比較
平成14年に出された「青少年の奉仕活動・体験活動の推進方策等について」の答申などを見てみると、「ボランティア活動」と「奉仕活動」の区別についての議論を重視しない内容だったと思います。 しかしながら、大人の間でも「ボランティア活動=奉仕活動」と考えている人もいまだにいるなかでこうした議論をあえてしないのは、体験の機会を提供してもらう子どもにとってより良い環境であるとはいえないのではないかと思います。阪神大震災以来「ボランティア」という言葉が日常よく使われるようになりました。しかし、社会の中で「ボランティア」という言葉がその概念とかけ離れて独り歩きしている現状があると思います。例えば、「一種のペナルティ」としての意味で「道路交通法違反者が交通安全のPR活動に参加すること」や「学校の停学処分を解除するために奉仕活動を行うこと」をボランティア活動ということがあります。さらに「無償性」をあまりにも意識するあまり、行政が「ボランティアを活用する」という言葉を使用することがあります。 しかしながら、「ボランティア活動」と「奉仕活動」の概念は興梠寛氏作成の図2にもあるようにかなりの違いがあります。これを見るといままでボランティア活動だと思っていた活動が奉仕活動に近いものだったり、ボランティア活動でも奉仕活動でもないと思っていた活動が、ボランティア活動に近かったりすると思います。ボランティア活動の「主体性」「互酬性」「公共性」といった特徴を理解しないで、自分たちが何をしているのかわからないまま、活動のみ積み重ねていくことが果たして、本来のボランティア活動の発展につながるとは考えられないと思います。 例えば上記で示した県主催のボランティア研修会で「自分がやりたいボランティア活動」について「クリーン作戦」を企画した高校生に「どうしてその企画をしたいのか」尋ねたことがありました。その答えは「きれいにしたいから」というものでした。その高校生はボランティアサークルに所属しておりある程度クリーン作戦の経験もあるとのことでした。 ボランティア活動に対する考えは個人差もあるでしょうが、少なくとも上記に示した図2の内容をある程度学習していれば、質問に対する答えとして自己満足的な回答に終始することはなかったと思います。「クリーン作戦」を実施する目的は、「クリーン作戦」を実施している姿を大々的に地域住民や運転者などに知らしめることでゴミのポイ捨てを意識的に抑制する効果をねらうことにあると思います。このことについてきちんと学習していかないと、「大人が捨てたゴミを子どもに拾わせている」という最悪の結果になるのではないでしょうか。ボランティアサークルや社会教育等の活動において、もっと活動の目的や効果を考える視点を考えるような「ボランティアについて学習する」機会をつくる必要性があると思います。 このことと関連して、自分の担当するボランティア体験事業の参加を呼びかけるためにある学校へ説明に伺ったときの、担当の教師とのやりとりでこんな言葉がありました。「うちの学校のJRC(主にボランティア関係の活動を行うと思われる部)は帰宅部になっていて、部員も転部してきた子が多い。」というものでした。本来ならば、生徒がボランティアについて学習するための機会を提供するはずのこうした学校の活動が、学校間の差もあるでしょうが十分機能していないというのも、従来型のボランティアのイメージが生徒間にあり、生徒のニーズとなっていないことをしめしていると思われます。 こうした、ボランティアを学習する機会が十分確保されないことが、子どもにマイナスのイメージを与え、いまだに子どもに対して効果的なボランティア活動の体験を提供するところへ展開しない障害になっている可能性があります。 こうした背景もあり、私の担当したボランティア体験事業の参加者は、募集の手法にも課題があると思われますが、おおよそ将来の職業を模索する「就業体験志向の参加者」と進学等に役立つなどの「キャリア確保を目的とした参加者」が多い現状で、必然的に体験事業の内容もそれに付随したものにならざるを得ない現状があります。 ここで一言断っておきますが、私は前述した2種類のボランティア活動を「するな」というつもりも、批判するつもりもありません。それらのボランティア活動も非常に重要な活動だと思っていますし、ぜひ続けていってほしいと思います。 ただ、私が言いたいのはもっと他にも活動の内容はあるし、幅広い活動の経験を子どもたちに積んでもらうことで、「自分のスタイルに合ったボランティア」をみつける選択肢と機会が広がるのではないかと考えるためです。青少年が「ボランティアという手法」を通して社会とかかわっていくと考えるのであれば、その内容は一人一人に合った形があって当然だと思います。 さらに、社会的にはボランティア活動の認識度は増し、活動分野も多様化していますし、その可能性についても「企業」「行政」と相対する一つのセクターを構成し、地域社会を支えていく土台になるものとして期待されています。 こうした背景と社会教育行政側として事業を実施する意義を考えれば、「将来様々な分野で地域活動のリーダーとして活躍する人材の育成」が第一にあると考えられます。ボランティア活動の機会を提供する機関や団体は学校や社会福祉協議会、民間のサークルなどさまざまありますが、それぞれの機関や団体の目的や機能を把握したうえで何を提供していけばよいか考えていくことが必要だと思います。 2.だがしや楽校との出会いと実践 (1)だがしや楽校との出会い |
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日程 12月20日 9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 17:00 19:00 21:00 23:00
12月21日 6:00 7:00 8:00 9:00 11:00 12:00 13:00 14:00
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この試みは、活動場所を地域の社会教育施設に設定することで、地域の青少年の活動を地域の住民に理解してもらうこと、参加した青少年がだがしや楽校で出せるような技術や運営方法を習得することによって、地域のモデル的な活動として周辺への波及効果をねらったものでした。 結果として、休日を利用して親子連れで遊びに来た子どもや近所の子どもが多数訪れ、多くの出店で楽しいひと時を過ごしました。だがしや楽校で出店を提供した青少年の参加者も活動に手ごたえを感じ、次回の実施を要望しています。 しかし課題もあり、例えばこうした活動を「なぜ行うのか」参加した青少年にどのように理解してもらいながら進めていったらよいのか悩んでいるところです。参加した青少年はボランティア活動という認識は薄くただ「楽しいから」参加している人もいれば、異性や世代間との交流に重視を置いている人もいます。さまざまな利害関係がからむのはしかたがないと思いつつも、これらを含みながらも何か共通する一点が参加者の中から見出せないものかと思います。いろいろ課題はつきませんが、イベントとして、社会教育の学習プログラムとしても「だがしや楽校」は有効であり、これから地域をいくつか換えながら市内全域に普及させていきたいと考えています。 3.だがしや楽校の効果と課題 (1)効果 だがしや楽校に携わるようになり、の実践を通してその効果や課題が一部ですが見えてきました。 第一に、そこにスタッフとして参加した青少年の反応に普段のボランティア活動では引き出しにくい「評価」や「ふりかえり」が多かったことです。「子どもがたくさん店に来てくれて楽しかった」「あまり売れなくて残念だった」という反省が多く出ました。やはり対象が子どもということで各出店の入り具合がはっきりわかり、自然に各店の営業努力を評価する流れになっていったのではないかと思います。こういった「ふりかえり」の視点を学習する点で非常に良いシステムだと思います。 第二に、出店を運営する側、お客になる側それぞれの立場を体験できるということです。お互いの立場を取り替えることで得られる経験は、一方的になりがちな通常のボランティア活動に比べて画期的なシステムだと思います。サービスを行う側と受ける側の相互の関係、より良いサービスの提供へのきっかけづくりにもなります。人数的に余裕があれば是非立場を入れ替えてみるべきだと思います。異世代間で行えばもっとおもしろいかもしれません。 第三に、トラブルへの対処のしかたが身につくということです。運営のなかでお客の様々な要望や苦情などトラブルが生じてきます。例えば「ろうそくづくり」一つとっても、ろうが凝固するまでの待ち時間をどのようにするか意見が分かれます「他の出店で遊んでもらうべきか」「はじめからすべての工程を作ってもらうのか」「水で冷やすのか」こうしたルールを変える発想というかトラブル対策をその場その場で出していかなければならなくなります。私が子どもだったときは、近所の子どもたちを構成員とした「集団遊び」の中で培われていたと思いますが、物質的に豊かで便利な社会のなかで育ち、遊びの様式も変化してしまった現代の子どもたちが、体験できなくなっているものではないかと思います。 第四に、各出店を運営していくうちに、その店で提供しているさまざまな技能を覚え、覚えたことを次回のだがしや楽校でも披露していき、回を重ねるごとに「○○○の担当は」「△△△くんだ」というように集団の中で定着し、自分の専門性に自信が持てるようになり、集団の中での自分のポジションを感じることができます。この効果は、自分自身が他者から認められることによって、自信や安心を得るのと同じであり、現代の子どもたちに必要とされている「居場所」づくりにもつながるのではないかと思われます。 (2)課題と提案 第一に、こうした活動がもっと日常的に行われないのかということです。この取り組みは誰もが気軽に参加できるものです。活動の拠点を得て定期的に実施していけば、地域性がうまれ、新しいコミュニティの場として地域に根付き、子どもたちにも浸透していくのではないかと思います。私たちの活動はイベントが中心で、まだ拠点がないのでこの点に関しては特に思います。より定期的日常的に、なおかつ子どもの活動エリアを踏まえた拠点の数が必要だと思います。 近年は「駄菓子屋」を営む大人の方が出てきておられると聞きました。こうした取り組みをされる方を支援していくこと、コミュニティビジネスとして育成していくことが必要だと思います。 第二に、ボランティア活動において、こうした取り組みが認識されていくためには、ボランティア活動をこどもたちがはじめて学習する段階で、このことを体験していくことが必要なのではないかと思います。ボランティア活動の基礎的な知識や効果を考える視点、手法を学ぶ「ボランティア学習」の機会を作り、その担い手として民間にそうした学習機会を提供していく組織をつくり、担っていくことが必要だと思います。 第三に、学校教育では子どもたちにボランティアの意欲を育てる基礎的な分野から取り組み、ボランティア活動の可能性の高さを認識してもらう取り組みが必要であると思われます。総合的な学習の時間やボランティアについての学習で「だがしや楽校」が紹介されてもいいわけです。 第四に、社会教育分野では、さらに学びたい子どものためにより実践的な分野を担当していく役割分担が必要だと思います。「だがしや楽校」の企画運営に重点を置いた事業展開などが考えられると思われます。公民館などの事業で中学生・高校生がかかわるものが欠落している現状もあり、公民館等を拠点とした事業に「だがしや楽校」の手法を取り入れて青少年の参加を促していくことも考えられるのではないでしょうか。特に社会教育行政分野でボランティア活動を仕掛ける場合、「ボランティア活動をするための企画運営」に陥りやすいと感じています。また、他の行政機関との住み分けについても限られた事業費のなかでの実施ですから考えていく必要があります。こうした背景を踏まえたうえで、社会教育行政分野で取り組むべき内容は、社会の変化に応じて変わってきた子どもの生活を見つめ直し、地域の大人と子どものより良いかかわり方を探り、事業というかたちで提案していくことだと思います。 最後に、社会的な認識についても、大人のボランティア活動に対するイメージを変えていくことが必要だと思います。そのためには大人もボランティア学習に積極的に参加できるような機会をさらに提供していくことが必要とおもわれます。まさに「だがしや楽校」は自分の特技を活かしたり、子どもに受け継いでいってもらう目的で大人が積極的に参加すべきボランティア活動のひとつではないでしょうか。 青少年の創造性豊かで活発なボランティア活動の展開は、将来的には地域活動の活性化につながり、地域社会のために非常にプラスに作用するものと思われます。その具体的な提案のひとつに「だがしや楽校」があるのではないでしょうか。 参考・引用文献 平野吉直『青少年の社会奉仕体験活動』月刊公民館第544号 社団法人全国公民館連合会2002年 興梠寛『ボランティア活動と奉仕活動』青少年問題第48巻1号 財団法人青少年問題研究会2001年 明石要一『出てこい子ども社会の「仕切り屋」』明治図書出版株式会社1999年 中央教育審議会『青少年の奉仕活動・体験活動の推進方策等について(答申)』2002年 松田道雄『駄菓子屋楽校―小さな店の大きな話・子どもがひらく未来学』新評論2002年 |
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