| 青少年ボランティア活動と『だがしや楽校』 伊藤 健治 (庄内教育事務所社会教育主事) |
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1.「だがしや楽校が生み出す価値」との出会い 私と「だがしや楽校が生み出す価値」との出会いは、山形市南公園で行われた「だがしや楽校」に飛び込んだ時です。オープニングセレモニーがあるわけでもなく、晴天の下、公園の思い思いの場所に、学生が「かんたんな屋台」を開いていました。 それは、モノクロな世界に花が咲いていくような感じでした。「手作り」の看板が掲げられると、どこからともなく子どもたちが集まってきました。子どもと一緒に親も集まってきました。屋台で「小さな工作教室」が始まり、学生は一人ひとりの子どもの進度に合わせて「手作りレシピ」をもとに教えていきました。 ふと気づくと、学生と子どもとの「対話」が始まっていました。学校のこと、友達のこと…、一緒に工作を作りながら徐々に対話が深まっていました。辺りを見回すと、その「小さく温かな学びの輪」が、公園の中にいくつも増えていました。 工作や伝承を通じて、学生と子どもをはじめ、多世代間の対話が始まっていたのです。公園の一角に、小さな「コミュニティー」が誕生していたのです。「遊びと学びの屋台」が「人と人とがかかわる空間」を創造していたのです。そして、その空間創造に、学生が参画しているのです。「これだ!」私は「だがしや楽校が生み出す価値」を実感し、「社会教育方策としての可能性」を直感しました。 2.「だがしや楽校と地域の教育力の再生」=子どもとのふれあいの場面の設定 社会教育における課題に、「地域の教育力の再生」「地域活動への青年の参画」が挙げられています。この具体的方策としての「だがしや楽校」の可能性を考えてみたいと思います。 地域の教育力とは、地域社会が、そこに生きる子どもの人間形成に及ぼす影響力、教育作用であり、それは顕在化していない場合が多いと言われています。したがって自ら引き出していくべきものであり、教育力を引き出すためには、「おとな」が「おとな」であるために、「子どもとのふれあいの場面」を創り出すことが必要であると言われています。 このことは、地域の「おとな予備軍」である高校生(中学生)・青年にとっても同様に思います。地域社会と遊離しがちである、高校生(中学生)・青年も、地域教育力の担い手として期待されています。高校生(中学生)・青年層の参画は、地域教育力の再生(特に将来展望の視点から)には不可欠です。そのためには、地域において「手軽で、継続的で、多世代参画が可能」である取り組みが求められているのです。 このような、価値ある「子どもとのふれあいの場面」を創造するための具体的方策としての可能性を、「だがしや楽校」は持っていると感じるのです。 3.「だがしや楽校的発想」 高校生(中学生)・青年の社会参加の方法として、「青少年ボランティア活動」があり、現在、国・県の施策としても重視され奨励されています。 松田氏の「駄図」によれば、だがしや楽校から放射されるベクトルの先に「ボランティア」「青少年育成」「社会教育」「地域づくり」があります。そこで、ベクトルを逆に向け、前述したことを整理し、「青少年ボランティア」から「だがしや楽校」の意義をとらえ直してみます。 「だがしや楽校」という活動には、地域の教育力の再生にとって不可欠な、「地域の多世代(子ども・青年前期・青年・成年)が触れ合う場をつくりだす」という創造的な意義があります。そして、そこに参画する青少年個人の側面から切り込むと、「地域の「おとな」としての自覚を感じる自己実現」と、気軽にできる青少年の「地域多世代交流への参画方法の体得」という教育的な意義があると思います。 この、「気軽な参画により創造的意義と教育的意義の双方を実現」しようとする考え方を「だがしや楽校的発想」と仮に定義してみました。 4.「だがしや楽校的手法」と「だがしや楽校的活動・だがしや楽校的研修」 さらに、「だがしや楽校的発想」を具現化するための手法を「だがしや楽校的手法」と仮に定義してみました。 「だがしや楽校的手法」は、「だがしや楽校的活動」と「だがしや楽校的研修」の二つをさす総称とします。活動と研修のサイクル化により、「参画する力」と「人と係わる力」(※双方で社会力)の育成における相乗効果を生むと考えています。 サークルでできる「遊びと学びの屋台」を地域で開くことを「だがしや楽校的活動」、「交流を促進する空間を創造しながら、個々が技能を習得する研修」を「だがしや楽校的研修」と仮に定義しました。 「だがしや楽校的活動」は、青少年ボランティアサークルが単独で開催したり、公民館祭り等で屋台ブースを設置したりする気軽な出店を指しているため、「的」活動としました。 「だがしや楽校的研修」は、「だがしや楽校的活動」を行う際の、屋台を開くための「楽校技能」の習得・「開店方策」の情報交換の必要性に基づく研修であり、サークル固有の「遊びと学びの屋台」を開き相互提供します。ここでは、ネットワーク交流を主旨とした相互提供となるために、「的」研修としました。 5.「だがしや楽校的研修会」の実施 〜研修手法としての有効性〜 「だがしや楽校的発想」と「だがしや楽校的手法」に基づき、研修として「だがしや楽校交流会」を実施しました。庄内地区で活動する青年サークル・青少年ボランティアサークル等が「遊びと学びの屋台」を出店し、相互提供による交流を行いました。 <事業概要> ・事業名 山形県「青少年の社会力を高めるための環境づくり推進事業」 「庄内地区YYボランティアセンター ネットワーク交流会」 〜地域青年サークル・青少年ボランティアサークルの集い〜 ・期 日 平成15年12月13日(土) 会場:生涯学習施設「里仁館」 ・参加者 庄内地区青少年ボランティアサークル・青年サークル・子ども会育成会等、 14の団体から中学生・高校生・大学生・青年・成年85名が参加。 ・内 容 実技研修?「心のネットワークを作ろう!」アイスブレイキングゲーム 実技研修?「サークル活動を紹介し合い、得意技を学び合おう!」 ☆「遊びと学びの屋台」による、だがしや楽校交流会 グループトーク「お互いのサークル活動について語り合おう!」 ・成 果 1.研修会への「出店・参画」を呼びかけた結果、参加者数が例年の2倍に増えた。(能動的研修会は参加意欲を喚起する) 2.屋台出店により、主体的な研修会となり、成就感も得られた。 3. 屋台出店とその後のグループトークとの組み合わせにより、互いの活動に刺激を受けた旨、参加者から多くの声が寄せられた。 4.中学生は高校生から、高校生は青年から、青年は子ども会育成会から、モデルとしての刺激を受け、今後の方策を学ぶことができた。 5.青年・青少年世代の交流研修であるが、大学生から「中・高校生と成年世代のつなぎ役」を自覚している旨の発言がみられた。 6. 研修成果を生かし、自主企画や公民館事業等とのタイアップによる、「だがしや楽校的活動」を実施しているサークルが増えてきている。 <サークル自主企画についてのワーク> 6.「だがしや楽校的研修」から「多世代が触れ合う場の再生」へ 7月に実施した「YYボランティアセミナー(庄内地区中学生・高校生ボランティア養成講座)」においても、「だがしや楽校的研修」を実施しました(駄菓子付!)。 地域で子どもたちに提供することを前提に、各グループで学んだことを相互提供しながら研修する方法は、披露することで学んだことを定着させ、交流することで財産を増やし、さらに子どもに教えるための事前実習としての効果がありました。研修会の次の日に実施した幼児・小学生との交流実習で、成果を発揮していました。 研修会に参加したサークルの中には、「だがしや楽校的活動」を地域で実施している事例もあります。三川町公民館事業における青少年ボランティアサークル・青年サークル合同の出店(4つの屋台)、遊佐町の、小学生を対象にした「レッツ!わくわくボランティア」における中学生ボランティアサークル・高校生ボランティアサークル合同のだがしや楽校的活動の実践など、各地で活動が展開されてきています。 活動が進み、各サークルの特技が増えてくると、「だがしや楽校的活動」と「だがしや楽校的研修」のサイクルが機能し、相乗効果が期待できます。「だがしや楽校的研修」により、実践サークルのネットワークが広がり、さらに個々のサークルの実践力が高まり、ついには各地で多世代が触れ合う場が再生されることを願っています。 |
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